特集号を公刊しました!予算は「数字」だけで決まらない:行動公共予算論が示す新しい財政ガバナンス

Journal of Public Budgeting, Accounting and Financial Managementの特集号として、Zachary Mohr (カンザス大学)、Whitney Afonso (ノースカロライナ大学)、Tom Overmans (ユトレヒト大学)と “Behavioral public budgeting: rethinking fiscal behavior and institutional design” を公刊しました。

公共部門の予算編成では、歳入と歳出を合理的に計算し、最適な配分を決める仕組みだと考えられます。しかし、実際の予算編成や財政判断は、単なる計算だけではなく、市民、行政職員、政治家は、限られた情報、不確実性、政治的圧力、制度的制約の中で判断していることがわかっています。

このような公共部門における予算編成の意思決定を「人間の行動」という視点から捉え直しています。論文では、注意、フレーミング、感情、ヒューリスティックなどが、予算判断や財政ルールの運用に影響を与えることを明らかにしています。行動は財政システムに入り込む「ノイズ」ではなく、財政ガバナンスそのものを形づくる重要な要素だというパースペクティブです。

本論文は、公共予算をミクロ・メゾ・マクロの三つのレベルで整理しています。ミクロレベルでは、市民や職員、政治家の個別判断が扱われます。メゾレベルでは、参加、熟議、組織内の学習や調整が焦点になります。そして、マクロレベルでは、財政ルール、会計制度、業績管理の仕組みが人々の判断や行動をどのように方向づけるかが重要になります。情報をどの順番で示すのか、どのように分類するのか、どの選択肢を目立たせるのかといった「意思決定及びその環境のデザイン」が問われることを提示しています。

Guest editorial: Behavioral public budgeting: rethinking fiscal behavior and institutional design

Zachary Mohr; Whitney Afonso; Makoto Kuroki; Tom Overmans

Journal of Public Budgeting, Accounting & Financial Management (2026) 38 (3): 385–394.

https://doi.org/10.1108/JPBAFM-06-2026-398