企業のジェンダー多様性目標に関するワーキングペーパーを公表しました。

メルボルン大学の Sujay Nair 先生との共同研究成果のワーキングペーパー「Gender Diversity Target Difficulty and Business Risk」をSSRNに公表しました。
Kuroki, Makoto and Nair, Sujay, Gender Diversity Target Difficulty and Business Risk (December 02, 2025). http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.5843723
※ワーキングペーパーであることから,結果が変わる可能性があります。


研究の背景

企業は多くの場合,性別多様性を高めるために目標を設定しているが,目標の難易度は企業ごとに大きく異なる。本研究は次の問いを中心に据えている:

企業はなぜ高い難易度のジェンダー多様性目標を設定するのか?


研究のポイント

世界375社の公開企業データを分析
手作業で収集したジェンダー多様性目標と財務データを用いて,企業の目標設定の決定要因を調査した。

ビジネスリスクが高い企業ほど難易度の高いジェンダー多様性目標を設定
財務的な変動や業績の不安定さといったビジネスリスクが大きい企業は,外部評判を高める戦略として,達成が難しい目標を掲げる傾向が見られた。

難易度の高い目標は実際にジェンダー多様性改善に寄与
高い目標を設定した企業は、将来的にジェンダー多様性の向上が実際に進んでいるという結果も確認された。

株式オプションの変動性にも影響
難易度の高い目標を掲げた企業は、発表後の株式オプションの値動きが低くなるという結果も得られました。これはジェンダー多様性目標が企業の社会的評価を高め、市場の信頼感向上に寄与している可能性を示唆している。


💡貢献とインサイト

ジェンダー多様性目標の設定は,難易度の戦略的選択に着目すると,

  • 高リスク企業ほど、意図的に高い目標を設定し、社外評価を高める戦略を取る可能性
  • 目標設定の戦略化が、長期的な社会的評価や株式市場の安定にもつながる可能性

というような示唆が得られた。